コバナシ//明快に面白い! シュールはなし! 爆笑・お笑い・ショートショート・ジョーク短編集
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2007/09/30 (Sun) あなたが好きです

女が男に言った「私、あなたが好きです!」

男は答えた「実は、俺も君と同じ気持ちだったんだよ」

「本当!」

「ああ! 俺も俺が好きだ! 俺って美しい! ああ~俺って最高~!」

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2007/09/26 (Wed) 究極のやせ薬

ジャストピュア マッサージオイル VTM(ヴィタミン)
 助手が博士に言った。
「博士! ついに完全に食欲を抑える薬を開発しました。これを一日三回服用すれば、食事のコントロールが出来るようになります」
「でかした!」
「しかしひとつだけ問題が」
「何だ」
「この薬、恐ろしくカロリーが高いんです」

(了)

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2007/09/25 (Tue) 聖夜の奇跡

with me.(ウィズミー) シンプル系ウェーブ リング(Mens)男はバーカウンターに座った。

「バーテンはもう閉店ですよ」と言おうとしがた、男の幸せそうな顔を見て、いいそびれてしまった。
バーテンは男の頼んだウイスキーをカウンターに置くと、聞いた。

「随分といいことがあったようですね」

「わかるかい?」

「ええ、顔にかいています」

「ハハハ、まいったな、ちょっとした奇跡がおこってね、聞いてくれるかい」

「ええ」

男は話し始めた。



昨日のクリスマスイブに妻と川に釣りに行ってね、

実はそこはちょうど十年前のクリスマスにプロポーズをした場所なんだ。

そして指輪を妻に贈ったんだよ。

その当時は貧乏でたいしたものではなかった。

あとでもっといい指輪も買ってやったんだけど、

妻はずっとその指輪を薬指はめ続けていたよ。


それで二人で釣りをしているとかなりの大物が釣れたんだ。

それを船に引っ張りあげたんだけど、なんとその魚が妻の指に食いついたんだ。

私はそれを引っこ抜いたんだけど、魚はそのまま跳ねて川に逃げてしまったよ。

すると妻が「ない!」って叫んだんだ。

妻の手を見ると薬指にあるはずのものがなくなっていたんだ。

あの魚が咥えていってしまったんだよ。

妻は泣いたよ。どんなに慰めてもきかなかったね。

で、まあ。陸に上がってからも、妻は終始うつむいていたよ。

とりあえずお腹が空いたので近くのレストランに入ったんだ。

そこは釣りたての新鮮な魚を出すことで評判の店だったんだ。

私と妻は少しばかり恨みを晴らそうと、

あの指輪を咥えて逃げていった魚のフライを頼んだんだ。

その魚のフライが運ばれてきた。ちょうど釣った魚と同じ大きさだったよ。

私はそれをフォークで刺して、口に入れたんだ。

するとカチンと何かが歯に当たったんだよ。

骨かなと思ってそれを皿に出したんだ。

するとなんとそこには妻の指輪があったんだ。

こういうことってあるんだね、

きっと神様が私と妻との愛情の再確認のために、

ちょっとした余興を用意してくれたんだと思うんだ



男は幸せそうに語って、ウイスキーを飲み干した。

そして言った「話を聞いてくれてありがとう、いくらだい?」

バーテンは言った「いえ、お金はいりませんよ」

「え、どうしてだね」

「いい話を聞かせてもらいましたからね、それが御代代わりですよ」

「そうか、では甘えるとしよう、それじゃあ、メリークリスマス」

「メリークリスマス」


男がバーの外に出ると雪が降り出してきた。

夜風は冷たかったが、アルコールでほてった体にはちょうど良かった。

男は空を見上げると妻のことを思った。

上手く縫合されるといいが……。

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2007/08/09 (Thu) バイオ&ハザード

バイオハザードIII デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組)アメリカ西部にある小さな町。

そのある地域では最近、人が食い殺されるという猟奇事件が多発していた。

事態を重く見た市警は特殊部隊アルファチームを派遣した。

しかしチームは消息をたってしまう。

そのチームを助けるためにベータチームが派遣された。

ベーターチームはヘリコプターで現場に向かう。


ベータチームの一員である私はヘリコプターの椅子に座った。

隣には同じチームのキャサリンがいた。

私はキャサリンに言った。「聞いてほしいことがあるんだ」

「何?」

「えーと、あ、いや、その~……」

「なによ、もう、最近そういうのばっかりね」キャサリンは不機嫌に言った。

その時向かいに座っていたフランツが私に話しかけてきた。

「今度のマイケルの結婚式で披露する漫才のネタちゃんと覚えてきたか」

「あ、ああ覚えたよ」

「コンビ名はバイオ&ハザードだ、お前が上手くツッコまないと俺のボケが生きないから
な」

「ああ、分かってるようまくやるよ」

「しかしマイケルのやつ上手くやりあがったな、あんな美人をゲットするなんて」

「ああ、まったくだ……」

私はキャサリンを見た。相変わらず不機嫌そうな表情だ。

私はキャサリンにプロポーズをしたいと考えていたのだがなかなか言い出せなかったの
だ。


ヘリコプターが現場に着き、チームは降り立った。

しかし捜査を開始したとたん、なぞの怪物に襲われた。

ヘリはそのまま飛び去ってしまう。

チームは怪物に追われて四散してしまう。私は追われるまま、建物に逃げ込んだ。


私はとりあえず建物内を探索した。ほかのメンバーは大丈夫だろうか。キャサリンは…



ある部屋を開けた。すると、アルファーチームの隊長を発見する。

私は隊長に話しかける。すると隊長はなんと、襲い掛かってきた。

私は銃で隊長を撃った。しかし彼はなおも襲いかかろうとした。痛みを感じている様子
はない。

今度は頭部に銃を撃った。するとようやく動きを止めた

しかし、なぜ隊長は私を襲ってきたのだろう、そしてなぜ銃弾を受けても痛みを感じな
かったのだろう?。

その疑問は隊長が書いたと思われるメモを発見することによって、解決する。

内容はこうだ


『次第に理性が利かなくなってきた。まだ意識があるうちにメモを残しておく。
やつらはゾンビだ。やつらは集団で私に襲い掛かって来た。そして私に噛み付いた。
私もゾンビになるだろう。もしこのメモを読むものがいることに望みを賭けて記す。
やつらの弱点は頭だ。そこを破壊すると彼らは活動を停止する。』


なんてことだ、この施設はゾンビに占拠されたってことが、なぜこんなことに。

メモはさらに続く。


『これは彼らとの戦闘の中で発見したことだが、重要なことなのでよく覚えてほしい。
やつらの頭部は後頭部からダメージに弱い。そこからダメージを与えると場合によっては
人間の力でも破壊することが出来る。
では健闘を祈る』


後頭部か、武器は限られている。接近戦においてはこの方法を使う必要があるかもしれ
ない。



コンピューターで調べを進めているうちに、ゾンビはこの研究所で作られた、遺伝子操
作の薬が漏れ出したことによって生み出されたことが分かる。

そしてこの研究所の中央にその薬を中和するための薬が存在することが分かった。

しかしとにかく今は脱出が先だ。



施設から脱出するために走っていると、運よく別れ別れになっていたキャサリンと再び
遭遇することができた。

彼女も散々ゾンビに追い掛け回されて逃げ回っていたのだ。

「キャサリン無事だったのかい」

「ええ、でもほかの人たちは死んでしまったわ」

「そうか、とにかく脱出しよう」



私とキャサリンは協力して何とか出口の広間までたどり着いた。

しかしそこでゾンビの大群に遭遇した。私とキャサリンはマシンガンで応戦して広間の
ゾンビを殲滅した。

しかしそれでもゾンビは、広間の左右にある廊下から広間になだれ込もうとした。

私とキャサリンは左右に分かれてマシンガンで応戦した。

キャサリンが無線で言った「こっちは殲滅したは、そっちにむかう」と、その時キ
ャー!という悲鳴が聞こえた。

「どうした!」と、私は聞いた。

「一匹隠れてたのに覆いかぶさられたの!武器を取られたわ!
首を噛まれたわ!」

「後頭部だ、後頭部を強く叩くんだ!」私は無線に叫んだ。

「やったわ!頭が粉々に粉砕したわ」

その後、二人で何とかゾンビは殲滅したが、キャサリンはゾンビに噛まれてしまった。

このままではキャサリンがゾンビになってしまう。

私はキャサリンを連れて研究所中央にある、中和薬をキャサリンに注射するために進む
ことにした。



幾多の困難を乗り越えてその部屋にたどり着き、その薬を発見した。

「キャサリン、やったぞ、薬だ、これでゾンビにならずに済む!」

私はキャサリンを見た。するとなんと彼女は私に襲いかかってきた。私は何とかそれを
かわした。

キャサリンは震えて言った「もうだめ、殺して!でないとあなたまでゾンビに」

「大丈夫だ、注射を打てば治る」

私はキャサリンに薬を注射した。「これで人間に戻れるはずだ」

キャサリンは平静を取り戻した。

「キャサリン、戻ったら僕と結婚しないか」

「ええ」

「よかった、ずっと言いたかったんだけど言えなかったんだ」

「ええ、分かってたわ」

「愛してるよキャサリン、教会で結婚式を挙げよう、そして友人を呼んで豪華な披露宴を あげるんだ。そうだ仲人はだれがいいかな?」

「そうね、あなたにプロポーズをさせるキッカケを作った人がいいわね」

「だれだい、それは?」

「ゾンビよ」と、キャサリンは冗談ぽく言った。

「なんでだよ!」と、私は思わずツッコんだ。

キャサリンの頭部は粉々に粉砕した。

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2007/07/13 (Fri) 擦り切れるほど聴いたレコード

アビイ・ロード  友人が部屋の奥から大事そうに何かを持ってきた。それはビートルズのレコードだった。
「なつかしいな~昔はこういうので音楽を聴いてたんだな」と、私は言った。
「ああ、ビートルズのこのアルバムは擦り切れるほど聴いたよ」と、友人は言った。
「せっかくだ、聴くかせてくれよ」
「ああ、構わないよ」と、友人は言って、レコードジャケットからレコード盤を取り出した。
 いや、何も取り出さなかった。友人は何もない空間に、さもレコード盤があるかのように手でジェスチャーをしていただけだった。
「どうしたんだ、レコード盤を取り出せよ」と、私は言った。
「なに言ってるんだ、取り出しただろう」
「そっちこそ何言ってるんだ、なにも持ってないだろう!」と、私は言い返した。
 すると友人は言った。
「だから擦り切れるほど聴いたって言っただろう!」

(了)

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2007/07/13 (Fri) 幸せのブーケトス

ウェディングブーケBOOK (大型本) 売れない貧乏画家のトムは、その日も一枚の絵も売れなくて、そろそろ露天をたたもうとしていた。すると若い女がある絵を食い入るように見ていた。どこかの令嬢といった感じの女だっただった。

その女が見ていたのは、一輪だけ咲く花を描いた、小さな寂しい絵だった。それは気晴らしのために描いたもので、とても売り物になるような絵ではなかった。

「この絵を売って欲しいの」と、女は言った。

「いえ、それは売り物ではないんです」

貧乏画家とはいえプライドはある。売り物に値しないような絵を売るわけにはいかない。

女はそれを聞くとムッとした表情になり、なにを勘違いしたのかバックから札束を取り出し、それを見せて言った。

「これでどうかしら」

それはトムにしてみれば咽から手が出るほど欲しいものだった。しかしその態度がどうも気に入らなかった。思わずトムは言った。

「この絵はコイン一枚の価値もない、しかしその札束よりは価値のあるものなんですよ」

女は一瞬なにを言われたのか理解できない様子だったが、すぐに顔を真っ赤にして立ち去った。

トムは冷静になると、つまらない意地を張って大金を手に入れるチャンスを逃したことを後悔した。

翌日、その日もトムは露天で絵を売っていた。すると昨日来た女がまた現れた。そしてすこし照れくさそうな様子で言った。

「昨日のことを誤りたいの、あなたのプライドを傷つけしまうようなことをして、そんなつもりはなかったのだけど、どうしてもあの絵が欲しかったものだから」

「なぜあんな絵が欲しいのです?」

「わかりません、でもなんだかとても自分をみているようで……」

トムは女に絵を譲った。女はお礼にせめて食事をご馳走したいと言った。断る理由はなかった。それに実際腹ペコだった。

女の名前はナンシー、実業家の娘とのこと。

ナンシーはトムに聞いた。

「あの絵、あなたの部屋にある花の絵なの?」

「いや違うよ、自画像さ」

「そう……」

トムとナンシーはお互いに惹かれあい、数ヵ月後結婚を決めた。

しかしトムは貧乏絵描き、当然のごとくナンシーの両親、特に父親は大反対をした。ナンシーは家を飛び出てトムの部屋に暮らすことになった。

ナンシーはトムの画家としての成功のためにドレスの仕立ての内職をして家計を支えた。

ある日、仕立て屋の、ケビンが仕上がったドレスを受け取るために尋ねてきた。ナンシーは居なかったのでトムが彼女の縫い上げたドレスをケビンに引き渡した。

ケビンはトムを見て言った。

「なんか浮かない顔をしてるな?」

「なに、自分がナンシーにこのドレスの一枚すら買ってやれない男なんだなと思ってね」

「なに言ってるんだ、そんなの覚悟で彼女はあんたに付いて来たんだぜ」

「ああ、しかし結婚式すら挙げられないなんて、不甲斐ないよ」

「……なあ、俺のスーツを見てみな、どこで買ったと思う?」

「ずいぶんいい物じゃないか、高かったろう」

「自分でつくったんだ、古いソファーの布を縫い合わせてね」

「へ~たいしたものだな、そうは見えないよ」

「やろうと思ったらなんだってできんだよ、なあ、あの窓の白いカーテンあるだろう」

「ああ、それがどうかしたかい?」

「あれで俺が、ウエディングドレス作ってやるよ」

「ウエディングドレス?」

「結婚式してやろうぜ、シークレット結婚式をさ、きっとナンシー喜ぶよ」

トムは知っている人間に片っ端からこのシークレット結婚式の計画を話し、出席してくれないかと訪ね歩いた。すると意外なことにほとんどの人が快く了解してくれた。中にはいろいろと支援してくれる人たちもいた。

みんな表には出さなかったが、この若い二人のがんばりをひそかに応援していたのだ。

ケビンは古いカーテンから見事なウエディングドレスを縫い上げた。まったくたいしたものだった。トムはなんでも工夫しだいでなんとでもなるものだと思い知った。そして自分がたくさんの仲間たちによって支えられているということに気づかされた。

そしてある晩、トムはナンシーをとある会場の部屋の前に呼び出した。そしてその部屋に入るように言った。ナンシーがドアを開けて部屋を覗く、しかし中は真っ暗だった。すると突然灯りがついた。そこには立派なウエディングドレスが飾られていた。

「トム、これは!」ナンシーは思わず叫んだ。

「いまからこれを着て結婚式をあげるんだよ」

「ああ、なんてこと、すばらしいわ!」

ナンシーがウエディングドレスを着てトムと共に結婚式会場に入場した。そこには沢山の人達が二人を祝福するために集まっていた。ナンシーの女友達もいた。そして両親もいた。トムが何度も足を運んで説得したのだ。

トムはナンシーに言った。

「ウエディングドレスも、僕のスーツも、壁の装飾も、料理も、何もかもが手作りなんだ」

二人はケビンが扮した神父の前で指輪の交換をした。その指輪は木を彫刻して色を塗ったものだった。

「本物の結婚指輪は用意できなかったんだよ」

トムはそう言ってナンシーの指にその指輪をはめた。

ナンシーはその指の指輪を見ると言った。

「本物よりずっと素敵な指輪だわ」

そしてトムにキスをした。

「そのかわり、あるものを君に渡そうとおもってね」

トムがそう言うと、ケビンが布の掛かったキャンバスを持ってきて、ナンシーの前に置いた。そしてその布を取った。すると会場に感嘆の声が響いた。そこには見事な花束の絵が描かれていた。それは間違いなくトムの最高傑作だった。ナンシーの父親はそれを見て納得したようにうなずいた。

ナンシーのほほには涙が伝っていた。

「すばらしいわトム!」

「ナンシー、僕たちは出会った瞬間、あの絵の一輪挿しじゃなくなったんだよ!」

「ええ、そうね!」

トムはその絵をナンシーに手渡した。

ナンシーは絵を受け取ると言った。

「本物よりずっと素敵なブーケだわ」

そして後ろの女友達に向かって放り投げた。

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2007/07/13 (Fri) 見えない落書き

PARIS GRAFFITI―パリの落書き (単行本) 女が朝の散歩をしていると、二人の中年の男が深刻そうな顔で話をしていた。

「またやられたな~」

「ああ、これで五度目だよ」

「塗り替えても塗り替えてもすぐにこれだ」

「こんな派手な落書きをするなんて」

男たちはシャッターを見つめながらそう話し合っていた。

女はそのシャッターを見たがこれと言って落書きのようなものは見あたらなかった。

男たちは会話を続けた。

「しかしまた、派手に描かれてるね」

「ああ、回数を重ねるたびに巧妙になってきやがる」

女はよくよく目を凝らしてシャッターを見たが、落書きなど見当たらなかった。少々の汚れはあったが、何の変哲もない、普通のシャッターだった。

男たちはその間も、落書き犯に対する怒りを語り合っていた。

女は首を傾げて、おかしな人たちだ、と思いつつその場を後にした。

男たちはその後も話し続けた。

「しかしここまで見事に描かれると、怒りを通り越して関心しちまうよ」

「ああ、まったくだ、微妙な汚れまで細かく再現してやがる」

「一体どこの物好きだよ、壁にシャッターの絵の落書きなんてするやつは」

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2007/07/13 (Fri) おっちょこちょい病

おまけのオバケはおっチョコちょい (旺文社創作児童文学) (単行本) ある日の正午、突然すべてのテレビ局の番組が中断し、厚生省大臣による緊急会見が放送された。

「厚生省研究班の調査により、きわめて感染力の高い伝染病が発生したことがわかりました。その伝染病はほんの些細な接触によっても感染し、現在の医療技術では、完治はほぼ不可能なのです。その病気は感染すると、極度のおっちょこちょいになってしまうという、きわめて厄介な病気なのです!すでに国内に数百例の発病を確認しています!」

この病気はおっちょこちょい病と名づけられた。
この会見により世間は大パニックに陥ってしまった。

もしかしたら自分がそのおっちょこちょい病にかかっているのではないかと早合点した、ただのおっちょこちょいなだけの人がおっちょこちょいにも病院に殺到し、病院は自分がおっちょこちょい病なのではと思い込んだ、ただのおっちょこちょいであふれかえってしまった。

さらに悪いことに、おっちょこちょい病にはかかっていない、ただのおっちょこちょいなだけの人を、間違っておっちょこちょい病だと診断してしまう、おっちょこちょいな医者までの存在した。

そんなことで、普段はおっちょこちょいではない人も、些細なおっちょこちょいによって、自分もおっちょこちょい病にかかったのではないかとの疑心暗鬼を生み、どんな小さなおっちょこちょいも起こさないようにしようとの気遣いが、さらにおっちょこちょいを誘うという悪循環に陥ってしまった。

そんな時、突然総理大臣によって緊急会見が放送された。

「先日厚生大臣によって発表されたおっちょこちょい病に関する情報においていくつかの間違いがあったことを発表します。まずこの病気は感染力はほとんどなく、接触だけで感染するということは有り得ません。また治療においても時間を掛けることによって完治出来ることがわかっています。そして、国内においての感染例は確認されていますが、それもわずか一例です」

このことで、この騒動は急速に鎮静化に向かった。

厚生大臣は世間を混乱させた責任を取って辞任をした。

世間は再び平穏な日々を取り戻した。


官邸を後にする元厚生大臣に総理が話しかけた。

「まさか君がおっちょこちょい病にかかっていたとはな」

「申し訳ありません、総理」

「まあ、しっかり治療しなさい」

「はい」

元厚生大臣は官邸前に用意されていた救急車に乗り込んだ。

そしてハンドルを握り、アクセルを吹かして、救急隊員を置き去りにして走り出した。

(了)

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2007/07/13 (Fri) 千年桜

ジオコレ 情景コレクション ザ・樹木 004 桜 中国の奥地にあるある険しい山、その頂上には千年咲き続けているという桜、千年桜があるという。

その桜を見た者には永遠の幸福が訪れるらしい。

しかしその桜を見たものはいない、それほどたどり着くのが難しい険しい山だったのだ。

単に体力があるだけではだめで、それはとてつもない精神力を有する人間だけだ頂上にたどり着けることが出来るという。

そして今日、一人の男がその頂上に挑んでいた。千年桜を見るために。

いや、目的などどうでも良かった、男は自分を試したかっただけだ。自分自身を見極めるために、そして恩師へ強くなった自分を見てもらうために。

わずか十年前、男はそんなことなど考えない愚かな人間だった。

その男が後に後に彼の恩師となる寺の住職と会うのは、男が安酒をたらふく飲んで、酔っ払って理性を失い住職の寺の桜の木をへし折ったのがきっかけだった。

住職はその折れた桜の木の弁済分、寺で働いて返すようにと男に雑用を言いつけた。

男は負い目もあり、しぶしぶその言いつけに従うことにした。

男に言いつけられたのはまさに修行と言っていい仕事だった。男は大変な苦労を強いられた。何よりもつらかったのは大好きな酒を飲めないことだった。

しかししばらくすると、男は自分がなんともいえない充実感を感じていることに気が付いた。

住職は見抜いていた。男は不幸が続き少々ひねくれていたが、根はまっすぐな男だ。精神を叩きなおしてやれば、利口さを身につけることが出来るだろう。

男は住職の見込みどおり、修行の末にどんどんと人間的成長を果たし、高い体力と精神力、そして利口さを身につけて行った。あれほど好きだった酒もきっぱりとやめることが出来た。

そして寺で五年ほど過ごした後、男はさらに高みを目指すために世界漫遊の修行旅をすることになる。

男は世界各国の修行場をめぐり、血のにじむような修行に明け暮れた。

そして五年、その修行旅の最終目的がこの山の頂上の千年桜を見ることだった。

男はほとんど断崖絶壁の山肌をよじ登る、そしてついに頂上に着いた。

そこには満開に咲く大きな桜の木が咲いていた。千年桜だった。

男がその桜に見惚れていると一人の老人が男に近づいてきた。

老人は言った。

「ほお、久しぶりに人が訪ねてきたな、ここまでたどり着くとはたいした男だ」

男は老人に言った。

「恐縮です、失礼ですがあなた様は?」

「私の名などどうでもいいじゃろう、お前と同じ道を求める者じゃ、少しばかりの超能力は有しておるがの」

「そうですか、さぞかし格の高い仙人とお見受けしました、老師と呼ばせてください」

「好きにすればええ」

「ところで老師、この桜を見たものには永遠の幸福が訪れると下界で聞いたことがあるのですが」

「あながち外れてはおらん、だが見るだけではだめだ」

「と、申しますと?」

「この桜の木の枝を、折って自宅に持ち帰れば幸福になれる」

「なんですって! この見事な桜の木の枝を折るですって!」

「そうじゃ、どうするかね?」

「……こんな見事な桜の木の枝を折るなんて出来ない、こんなものを拝めただけで私には眼福です、このまま山を降りることにします」

「うむ、己の欲望に勝つとはたいした精神力だ、よろしい、わしもこの桜の及ばずながら超能力の持ち主じゃ、お前さんの望むものをひとつ与えてやろう、何でも言ってみろ」

「そうですか、では安酒をたらふくいただきたい」

(了)

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2007/07/13 (Fri) 意外な演奏方

LITTLE JAMMER PRO. tuned by KENWOODあるクラシック好きの夫婦が知り合いのつてで、オーケストラ舞台袖を見せてもらうことが出来た。

一人の演奏家が通りかかり、その彼から夫婦は話を聞くことが出来た。

すると彼が面白い物を見せますよ、と言って、バッグから筒を取り出した。

そして尺八を奏で出した。

夫婦は関心して拍手をした。

するとおもむろに、彼はその尺八を口から離した。しかしそのまま演奏は続けていた。

夫婦は「え!」と、声を上げた。

そう、彼は口で尺八の音まねをしていたのだ。

夫婦はさらに関心して拍手をした。

夫は言った。「いや、すばらしい、楽しいものを見させていただきました」

演奏家の彼が言った。「ちょっとした余興でしてね、結構受けるんですよ、ハハハ」

「余興だなんて、すばらしい芸です」

「恐縮です」

若いスタッフが、演奏家に、「出番です」と言った。

「それじゃあ」と、言って、彼は舞台に出て行った。

すると妻が言った。「あれ、あの人楽器持たずに舞台に出て行っちゃった!」

「あ、本当だ。どうするつもりなんだ?」

夫婦が心配して見ていると、その演奏家は、ある方法で演奏を始めた。夫婦は「あ!」と声を上げた。

オーケストラはすばらしい演奏を聞かせてくれた。特にあの演奏家はすばらしかった。

すべての演奏が終わり、あの演奏家が舞台袖に戻ってきた。

夫婦は関心して拍手で演奏家を迎えた。

夫は演奏家に言った。「いや、すばらしい指揮でした!」

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