コバナシ//明快に面白い! シュールはなし! 爆笑・お笑い・ショートショート・ジョーク短編集
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2008/12/20 (Sat) 夢記録ビデオ

 私はある時は無敵だった。空を飛び怪獣を倒し、たくさんの人に感謝された。
 そしてある時はモテモテだった。たくさんの美女とアバンチュールを楽しんだ。
 ただしこれは夢の中でのはなしだ。私は変わった特技としてほぼ理想どおりの夢を見ることが出来たのだ。さらに夢の中でこれが夢であると認識していた。
 私は自由に理想の夢をみて楽しんだ。しかし現実に戻ってしまえば当然のことながらそれは全て幻になってしまう。
 私は妻に急かされて朝食をとりながら考えていた。現実とは空しいものだ。せめて夢をカメラに録画して夢が覚めた後でも見れるようにならないものだろうか?
「ねえ、さっきから何をボーっと考えてるの?」妻が私を見て言った。
「いや、なに大したことじゃないよ」
「もしかして、浮気をしているとか?」
「ち、ちがうよ!」
「判ってるわよ、あなたにそんな甲斐性があるわけないでしょ」と、妻は笑って言った。
 私は少しばかりの抵抗とばかりに拗ねてやった。妻はそんな私には眼もくれずに二人の娘を学校に送り出すためにせわしなく動き回った。
 私が会社に行くために玄関に向うと、妻が珍しく「行ってらっしゃいと」言ってキスをした。さっき拗ねたせいだろうか。いや、違った。彼女は私の手にゴミ袋を持たせた。
 私はゴミ袋を持っていつもの時間に、いつもの家を出て、いつもの会社に向う。

 ある日の夢の中、私は世界最高の科学者になっていた。ノーベル賞を貰った私はある機械を開発することを考えた。
 それは見た夢を録画するビデオカメラだ。私は天才的な頭脳でその機械を完成させた。そしてその機械で私は夢の中の私の生活を録画した。
 とはいえその機械を開発したのは夢の中だ、現実に持っていけるわけではなかった。私はそう考えていた。しかし事実はそうではなかった。
 朝、目を覚ました私の手には一本のビデオテープが握られていたのだ。
 私は驚いた。しかしともかくベッドから飛び起きてリビングに向かい、ビデオデッキに差し込んで再生をした。
 するとそこには空を飛び、怪獣を倒す私の姿が映っていたのだ。夢の中で開発した夢を記録するビデオカメラを現実の世界へも持ってこれたのだ。
 テレビに映る私は世界を救いたくさんの人々に感謝されまさにヒーローだった。
 そしてたくさんの美女に囲まれモテモテだった。
 そして妻がいて子供がいて、せわしない日常をそれなりに楽しんでいた。
 私はビデオを止め、家族の写った写真立てを手に取り、一年前の事故を思い出し涙を流した。

(了)

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