コバナシ//明快に面白い! シュールはなし! 爆笑・お笑い・ショートショート・ジョーク短編集
--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2008/09/03 (Wed) 万華鏡

 ある心理治療師の元に、女性が女の子供を連れてやってきた。
 女の子の名前はアリサ。アリサは右手に筒のようなものを持っていて。それをずっと右目に当てて覗いていた。
アリサの母親は心理治療師に言った。
「先生、この子はずっとトイレットペーパーの芯を覗いたまま手放そうとしないんです」
 心理治療師はアリサに言った。「どうしてティッシュペーパーの芯を覗いているんだい?」
 アリサは言った。「これ、トイレットペーパーの芯じゃないわ。万華鏡よ」
「万華鏡か。どうしてそれを万華鏡だと思うんだい?」
「だってこれを覗くととてもキラキラときれいなんですもの」
 母親が言った。「ずっとこの調子なのです。この子心がどうかなってしまったのでしょうか……」
「まあ、とにかく治療してみましょう」

 心理治療師はアリサを治療室に連れて行き、催眠治療を試みた。

 10分後、心理治療師は治療室から出てきた。
 アリサの母親は治療師に走り寄り訊いた。
「先生、アリサはどうでしたか、治療は成功しましたか?」
「それが、なんともいえないのです」
「なんともいえない? それってどういうことなのです?」
 その時治療室からアリサが出てきた。その手にはトイレットペーパーの芯はもたれていなかった。
 母親は驚いてアリサに訊いた。
「ありさ、トイレットペーパーの芯はどうしたの!?」
「だって、あんなものを覗いていたって仕方がないじゃない」
「先生! アリサを直してくださったのですね」
「ええ、まあ……」
 するとアリサが言った。「だってあんなものを覗かなくたって、世の中は全部キラキラときれいなんですもの、存在するもの全て、見えるものも見えないものも全て輝いて見えるわ」
「先生! 前より悪化してるじゃありませんか!」
「そうかもしれません。あるいは私たちのほうが病んでいるのかもしれません」

(了)

スポンサーサイト

ショートショート | trackback(0) | comment(0) |


<<魔法の缶 | TOP | 最後のメッセージ>>

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://yamakawabunko.blog108.fc2.com/tb.php/79-d4a85585

| TOP |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。