コバナシ//明快に面白い! シュールはなし! 爆笑・お笑い・ショートショート・ジョーク短編集
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2008/07/19 (Sat) 高性能めざまし時計

起床装置 DANGERBOMB CLOCK 男が息を切らせて研究所に入ってきた。
 研究所の博士がその男に言った。「また遅刻かね助手君」
「すみません、どうしても朝起きられなくって」
「新婚だから無理はないが、こう度々だとこまるねぇ。まああんなに美人の奥さんをもらっては仕方がないだろうが」
「いえ、そういう訳ではないのですが、どうも朝が弱くって」
「まあいい、実は君のためにある機械を作っておいたんだ」
「機械ですか」
 博士は丸くて黒い、ボーリングの玉のようなものを取り出した。
 助手は言った。「何ですか、ボーリングの玉ですか?」
「いや、とにかく持ってみたまえ」
 助手はそれを持つと言った。「あ、そんなには重くないですね。しかし、これ穴が二つしか開いてませんよ、親指はどこに入れるのです?」
「だからボーリングの玉ではない、それは目覚まし時計だ」
「目覚まし時計。でも時間を表示するところがありませんよ?」
「内臓されている。フタをあければ出てくる。しかしこの時計の真価はそんなところではない」
「と、いうと」
「どれ、ともかく見せてやろう」と、博士はフタを開けて何かをいじくった。「時間を合わせた」
 すると時計は喋りだした。「時間ですよ、起きなさい、時間ですよ、起きなさい」
 博士は言った。「声は任意で録音できる。君の新妻の声でも入れておけばいいだろう」
「なるほど、喋る時計ですか。しかし今時こんなのは珍しくもないと思いますが」
「これからだよ。まあその時計を持ってみたまえ」
「はい」と、言って助手はその時計を持った。
 しばらくすると、時計が激しく振動し始めた。
「博士! この時計、手から抜け出ようとします!」
「そうだ。これがこの時計の真価、逃げる時計だよ」
「うわ!」と、助手が言うと、その時計は助手の手から飛び出て、部屋中を逃げ始めた。
「助手君、その時計を捕まえるのだ。しっかりと持たないとまた逃げられるぞ」
「はい!」助手は何とかその時計を捕まえて、今度は逃げられないようにしっかりと両手で押さえ込んだ。
 時計は「離して! やめて! 離して! やめて!」と、繰り返している。
「博士、この時計、どうやって止めるのですか」
「穴が二つあっただろう。その中に停止ボタンがある。その穴に人差し指と中指を突っ込むんだ。ボウリングの要領でな」
 助手は言われた通り、その穴に指を突っ込んだ。「博士、なかなか入りませんよ」
「わざと入りにくくしているのだ。ぐいっと、勢いを付けて奥まで突っ込むんだ」
 助手は言われた通り、ぐいっと、穴の置くまで指を突っ込んだ。すると、やっと時計の振動と声が止まった。
 博士は言った。「どうだね、これで君の寝坊もなくなるんじゃないかね」
「そうですね、朝こんなににぎやかにやられたら、嫌でも起きますよ」
「それを君に貸しておいてやろう。実はそれはもうすぐ売り出す予定でな、君はそのモニターというわけだ」
「わかりました博士」
「試作品だからいろいろ不具合があるかもしれない。まあ爆発などしないと思うがな」

 次の日、助手は遅刻をしないで研究所に来た。
「博士、あの機械いいですよ。これでもう遅刻はしないで済みそうです」
「うむ、そうか。君がそういうなら間違いないだろう」

 それからは助手は遅刻をすることはなかった。
 しかし一週間ほどしたある日、助手は昼になっても研究所に現れなかった。
 昼過ぎにやっと研究所に現れた。
「すみません、妻を病院まで送っていたので」
 博士は助手の姿を見て驚いた。顔中に傷やアザが出来ていたのだ。
 博士は聞いた。「妻を病院? それにどうしたのだね、その傷は」
「実は妻とケンカしまして」
「ケンカ? あんな出来た奥さんと。いやケンカはいいとして、そんなになるまで暴力を振るわれたのかね」
「ええ、まあ。しかしこれは仕方のないことです」
「ケンカの原因はなんだね?」
「あの時計です」
「時計、時計がどうかしたのかね?」
「時計が故障しまして」
「故障、爆発でもしたのかね?」
「いえ、単に作動しなかっただけです」
「それだけでなぜ、そんなになるまでケンカをしたのだね、しかも奥さんを病院に行かせることになったのか?」
「実は時計の代わりに妻が起こしてくれたのですが、僕は寝ぼけていて妻の頭をあの時計と勘違いしてしまって……」

(了)



  解説

 妻の鼻の穴に……。

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