コバナシ//明快に面白い! シュールはなし! 爆笑・お笑い・ショートショート・ジョーク短編集
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2007/09/25 (Tue) 聖夜の奇跡

with me.(ウィズミー) シンプル系ウェーブ リング(Mens)男はバーカウンターに座った。

「バーテンはもう閉店ですよ」と言おうとしがた、男の幸せそうな顔を見て、いいそびれてしまった。
バーテンは男の頼んだウイスキーをカウンターに置くと、聞いた。

「随分といいことがあったようですね」

「わかるかい?」

「ええ、顔にかいています」

「ハハハ、まいったな、ちょっとした奇跡がおこってね、聞いてくれるかい」

「ええ」

男は話し始めた。



昨日のクリスマスイブに妻と川に釣りに行ってね、

実はそこはちょうど十年前のクリスマスにプロポーズをした場所なんだ。

そして指輪を妻に贈ったんだよ。

その当時は貧乏でたいしたものではなかった。

あとでもっといい指輪も買ってやったんだけど、

妻はずっとその指輪を薬指はめ続けていたよ。


それで二人で釣りをしているとかなりの大物が釣れたんだ。

それを船に引っ張りあげたんだけど、なんとその魚が妻の指に食いついたんだ。

私はそれを引っこ抜いたんだけど、魚はそのまま跳ねて川に逃げてしまったよ。

すると妻が「ない!」って叫んだんだ。

妻の手を見ると薬指にあるはずのものがなくなっていたんだ。

あの魚が咥えていってしまったんだよ。

妻は泣いたよ。どんなに慰めてもきかなかったね。

で、まあ。陸に上がってからも、妻は終始うつむいていたよ。

とりあえずお腹が空いたので近くのレストランに入ったんだ。

そこは釣りたての新鮮な魚を出すことで評判の店だったんだ。

私と妻は少しばかり恨みを晴らそうと、

あの指輪を咥えて逃げていった魚のフライを頼んだんだ。

その魚のフライが運ばれてきた。ちょうど釣った魚と同じ大きさだったよ。

私はそれをフォークで刺して、口に入れたんだ。

するとカチンと何かが歯に当たったんだよ。

骨かなと思ってそれを皿に出したんだ。

するとなんとそこには妻の指輪があったんだ。

こういうことってあるんだね、

きっと神様が私と妻との愛情の再確認のために、

ちょっとした余興を用意してくれたんだと思うんだ



男は幸せそうに語って、ウイスキーを飲み干した。

そして言った「話を聞いてくれてありがとう、いくらだい?」

バーテンは言った「いえ、お金はいりませんよ」

「え、どうしてだね」

「いい話を聞かせてもらいましたからね、それが御代代わりですよ」

「そうか、では甘えるとしよう、それじゃあ、メリークリスマス」

「メリークリスマス」


男がバーの外に出ると雪が降り出してきた。

夜風は冷たかったが、アルコールでほてった体にはちょうど良かった。

男は空を見上げると妻のことを思った。

上手く縫合されるといいが……。

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